
古民家カフェ「小倉屋」1周年 ―町家に息づく時間と人のつながり―
古民家カフェ「小倉屋」(姫路市堺町)が8月20日、オープンから1周年を迎えました。
姫路城の東側・野里地区に立つ約150坪の敷地の建物に、座敷7卓20席を設けています。運営は、町家の保全や伝統技術の継承に取り組む団体「姫路・町家再生塾」事務局長の塩本知久さんと妻・由紀子さん。
建物は江戸時代中期の寛政年間(1789年~1801年)に建てられたもので、築200年以上。かつては金物店として地域の暮らしを支えていましたが、一度は取り壊しマンション建設の計画もあったそうです。2021年2月、知久さんが保存を目的に取得。傷んでいた柱や梁を修復し、外観・内装を改修。約1年をかけて蘇らせました。屋号「小倉屋」も金物店時代から受け継がれたものです。
町家の魅力
町家は、通りに面した間口が狭く、奥へと細長く続く独特の造りが特徴。光や風を巧みに取り込み、四季の移ろいと共に暮らす知恵が随所に感じられます。時を経ても残る木のぬくもり、土壁や梁の質感は、現代建築では味わえない安心感と落ち着きを与えてくれます。「小倉屋」では、そうした町家の空気を肌で感じながら、ゆったりとお茶を楽しむことができます。
お庭を眺めながらいただくお茶はほっとする瞬間があり、静かな時間が流れていました。
本と人が集う場所へ
かつて金物を陳列していたフリースペース「播美堂」は、現在ポップアップイベントなどに活用。本棚が並ぶ書斎風のスペースには、兵庫県や市町村の史料、町並み、祭り、発掘、妖怪、風俗に関する本など、約2000冊が所蔵されています。
カフェスペース「小倉屋茶房」では、コーヒー(ホット500円/アイス600円)、カフェオレ(700円)、ハーブティーやリンゴジュース(各500円)を提供。ハーブティーは姫路市香寺町「香寺ハーブ・ガーデン」の茶葉を使用しており、町家の雰囲気と地元の味覚が心地よく調和しています。
知久さんは「カフェ運営は手探りの1年でしたが、今後は活用の幅を広げたい。城下町の魅力に触れられる場として、気軽に訪れてほしい」と話します。
播美堂のイベント情報
現在「播美堂」では、9月1日まで「森崎伯霊展」を開催中です。森崎伯霊さんは、姫路で初めて日本美術院展に入選し、後に日本美術院特待となった画家。故郷・播磨を中心に活動し、農村の暮らしの中にある幸せや人情を描き続けました。
9月6日(土)14:00~より「古典畔(こてんぱん)」を開催。
フランス人のフレデリック・ペルーさんが、移住の体験や暮らしを漫画に描いたお話を中心に、高校古典でもなじみのある『徒然草』を“おしゃべり感覚”で味わいます。聞き手は岩田健三郎さん、左鴻昌一さん。堅苦しい解説ではなく、気軽に楽しめる会です。
参加費は無料(ワンドリンクのご注文をお願いします)。
最新の情報は小倉屋公式instagramでご確認ください。
播美堂
歴史ある町家が、地域の文化や人をつなぐ拠点へと生まれ変わった「小倉屋」。
姫路のまちなみと共に、心安らぐ時間を過ごしに訪れてみてはいかがでしょうか。
店舗情報