
姫路の「ナースタクシーももの木」が開業半年 看護師が運転する医療ケア対応タクシーで外出をサポート
姫路市の「ナースタクシーももの木」が開業半年を迎える
姫路市青山を拠点に運行する「ナースタクシーももの木」(TEL 080-5830-8660)が10月15日、営業開始から6カ月を迎えました。
看護師や介護士の資格を持つスタッフがドライバーを務め、利用者の体調や生活状況に応じたサポートを行っています。
看護師・介護士が運転 医療的ケアにも対応
同サービスは、医師の指示がある場合に移動中の吸引や酸素投与など、医療的ケアにも対応できる介護タクシーです。
一般的な介護タクシーが乗降介助を中心とするのに対し、医療資格を持つドライバーが運転することで、体調に不安がある人も安心して移動できる環境を整えています。
代表・菅原なつさん「看護の力を地域に生かしたい」
代表の菅原なつさんは、子育てをしながら大学受験に挑戦し、看護師資格を取得しました。
病院勤務を経て「もっと社会に貢献できる形で看護の力を生かしたい」と考え、起業に踏み切りました。
現在は菅原さんのほか、看護師の衣笠しおりさん、介護士の赤松まいさんとともに3人体制で運営しています。
利用料金とサービス内容
料金は次の通りです。
- 普通車:初乗り700円(250メートルごとに100円加算)
- 大型車:初乗り720円(216メートルごとに100円加算)
- 乗降サポート:1,500円
- 看護師同行:1時間7,000円
- 付添いヘルパー:最初の1時間3,000円(以後30分ごとに500円)
- 院内付添い:1時間2,000円(以後30分ごとに500円)
- ストレッチャー利用:3,000円
- リクライニング式車いす:1,000円
- 酸素投与:1リットル1,000円(以後1リットルごとに500円)
- 吸引器利用:2,000円
車いすや座位保持ベルト、スロープなどの補助機材は無料で貸し出しています。
通院や旅行にも対応 24時間受付で外出を支援
利用は通院や入退院時の送迎だけでなく、冠婚葬祭、旅行、買い物など日常の外出にも対応しています。
24時間体制で予約を受け付けており、急な用事や長距離移動にも柔軟に対応しています。
「外出をあきらめない社会にしたい」
「ストレッチャーやリクライニング車いすを備え、利用者の状態に合わせた搬送を行っています。
高齢化が進む中で、体調に不安があっても安心して外出できる環境を提供していきたいです」と菅原さんは話します。
問い合わせ先
ナースタクシーももの木
住所:兵庫県姫路市青山
電話:080-5830-8660
受付:24時間対応
地域で高まる移動支援ニーズ 姫路でも“ナースタクシー”の存在感
兵庫県内では高齢化が進み、介護や医療の支援を受けながら生活する人が増えています。特に姫路市を含む播磨地域では、住宅地が広がる一方で公共交通の便が十分でないエリアも多く、通院や買い物など日常の移動をどう確保するかが地域課題となっています。
こうした中、福祉タクシーや介護タクシーといった「移動支援型サービス」が増えつつありますが、乗降介助や運転だけでは対応しきれない利用者も少なくありません。持病がある人や、酸素吸入・吸引が必要な人など、医療的ケアを伴う外出支援へのニーズが高まっています。
姫路市でも、福祉有償運送や地域ボランティアによる送迎体制が整備されつつあるものの、看護師が運転や介助を担うサービスはまだ限られています。そのため、「ナースタクシーももの木」のように看護職の専門知識を生かした移動支援は、地域の空白を埋める新たな取り組みとして注目されています。
菅原さんは「車いすやストレッチャーを使う人が、安心して外出できる環境が地域に広がっていけばうれしいです」と話します。医療や介護の専門職が地域の“足”を支える動きは、今後ますます重要性を増していきそうです。