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姫路城の入城料改定へ-2026年3月から
兵庫県姫路市は14日、世界遺産であり国宝でもある姫路城の入城料を改定すると発表しました。
2026年3月1日より、市外在住者の大人の入城料を現行の1,000円から2,500円へと引き上げます。一方で、市民の料金は1,000円のまま据え置かれ、18歳未満の入城料は市民かどうかを問わず無料化されます。
この料金改定は、2015年以来約11年ぶりとなります。姫路市によると、2023年度の入城者数は約148万人で、入城料収入は約11億円に達したということです。値上げ後は年間の入城者数を約120万人と見込み、10億円程度の増収を想定しています。維持管理や保存修理などの費用は、2015年度からの10年間で約145億円が費やされましたが、物価上昇や人件費の高騰を受け、2025年度からの10年間では約280億円に膨らむと試算されています。
姫路市の清元秀泰市長は記者会見で、「姫路城は単なる観光地ではなく、400年の歴史を誇る文化遺産です。安全性を確保しながら未来へ継承していくためには、適切な財源確保が不可欠です」と述べ、理解を求めました。また、市民の料金据え置きについては、「城下町の景観維持にも市税が投入され、多くの市民が清掃活動などで支えてきた背景があります」と説明しました。市民料金の適用には、原則としてマイナンバーカードの提示が必要となります。
さらに、値上げに伴い、新たに年間パスポート(5,000円)を導入することが決定しました。利便性向上のため、デジタルチケットの販売も試験的に導入します。これにより、大阪・関西万博が開催される2025年4月1日から10月14日までの期間、窓口販売と並行してオンラインでのチケット販売が実施されます。
姫路城の維持管理には多額の費用が必要であり、特に今後10年間での修繕・改修計画には約280億円が見込まれています。これまでの補助金や市の財源では賄いきれない部分を、入城料収入で補う考えです。姫路市は、今回の改定が城の長期的な保全と観光資源としての価値向上につながるとして、市民や観光客の理解を求めています。